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イージス調査

イージス・アショアを秋田市新屋に配備する計画が防衛省から示され、現地調査も始められた。議会からも様々な疑問や心配の声が上がっている中、現在建設中のポーランドと既に配備されているルーマニアをこの目で見ようと現地に向かう。

今回の調査に参加したのは自民会派3名とみらい会派3名の計6名。成田空港からワルシャワ行きの直行便に乗り約10時間。ワルシャワで国内線に乗り換えグダニスクへ。乗り換え時間も入れると18時間の長旅だ。
グダニスク市内のホテルに泊まり、翌朝最初の目的地スウプスク市へ約2時間車を走らす。

話を伺ったのはスウプスク自治体のバーバラ市長。スウプスク市は人口約9万人でその周辺に41の小さな自治体(村)がある。

その中の一つレジコボ自治体にポーランドの元空軍基地がありその中にイージス・アショアは建設されている。

バーバラ市長の説明によると、2007年突然イージス候補地である事が分かり、翌2008年には正式に決定された。2016年に建設が始まったが、基地から4キロ以内の場所では容積6000m3以上の建物を建てる場合は米軍の許可を必要とし、また35キロ以内の場所では構造物の高さに制限がかかるなどいろいろな制約が出てきた。その為近くに250haの工業団地を造ったが企業の投資が減り経済的な損失を被っているという。政府には賠償を求めているが現在は口頭での約束で、運用が開始される2020年までは賠償の項目を確定させたいとの事だ。地元にとっては様々な心配があるが、国防上の事なので政府と米軍が決定し、地元に対する説明が足りないと言うが、そのあたりの事情は日本と同じようだ。

説明を聞いた後はバーバラ市長の先導で現地へと向かう。元空軍基地は面積700haで周囲は有刺鉄線で囲まれ、厳重な警備が敷かれている。我々の乗るバスがその中へと入るが、入り口でポーランド軍の案内者が乗り込む。写真撮影などはもちろん禁止だ。入って行くと敷地の中には車庫や寄宿舎など関連する施設が多数建設中だ。イージス本体はこの敷地の中にあり1キロほど先にはレーダーなどがあるデッキハウスも見える。アメリカ軍が管理するイージス設置場所の周囲は厳重な電気柵で囲われ監視カメラもいくつも設置されている。基地周辺には住宅も僅かにあり国道を近くが走るが林に囲まれており、一見しただけでは重要な軍事施設があるような感じはしない。

内部の工事の進捗状況については、ポーランド軍の説明によると、2020年の運用開始に向けて順調に進んでいるようだ。但し本格運用までは多くの段階があるため関わる業者が増えるほど時間がかかると言う。現在200を超える業者と8000人の作業員が働いているとも。
ポーランドは地政学的に大変厳しい場所に位置し、その為苦難の歴史を歩んできた。11月11日には独立100周年を祝う大規模な集会も開かればかりだ。現在アメリカとは軍事的に強い結びつきがあり、イージス建設もNATOのミサイル防衛計画の一環としてある。
現地を訪れ、そうした厳しい現実も肌で感じる事が出来た。
明日は次の訪問地ルーマニアへと向かう。
author:北林丈正, category:議会, 21:25
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