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総括審査で「県・市協働文化施設」を取り上げる


 さる10月5日に県議会総括審査が行われ「県・市連携文化施設」について自民党会派を代表して佐竹知事と議論を交わした。

 県と秋田市は昨年「新たな文化施設に関する整備構想」を示し、築52年が経過した県民会館と築33年が経過した秋田市文化会館に替わる施設を協働で整備するとした。
 今年2月には「新たな文化施設に関する基本計画」が示され、具体的な規模や機能が示された。それによると新たな文化施設は2,000席の高機能型ホールと800席の舞台芸術型ホールを有し、3,000人規模の大規模会議などにも対応できる機能を備えると言う。
 そして今9月議会では「整備方針」(案)が示され、最大の問題である建設場所につて「現県民会館所在地」と明記されたのである。整備スケジュールについても平成30年までに解体工事や設計を終え、33年までに建設、34年には開館するという。

 老朽化した県民会館の建て替えは相当以前からの課題であり、県議会でも度々取り上げられてきた。しかし財源や建設地、また関係団体との調整など課題は多く、佐竹知事はこの問題に慎重な発言を続けていた。ところが事態は一転、まさに風雲急を告げるがごとく一挙に進展したのである。

 質問にあたり、まず現地を訪れ敷地を良く観察し、現県民会館の図面なども入手し計画する建物が建設可能かどうか入念に調べた。
 現地を訪れまず感じたのは敷地が狭い事だ。敷地面積は13,225屬△襪、周囲はケヤキなどの巨木に囲まれており南側と西側は盛り土の斜面に樹木が立っている。形も不成形であり実際に建物を建設可能な面積は1万屬魏鴫鵑襪里任呂覆いと感じる。新文化施設の延べ床面積は実に22,500屬噺什澆量2.4倍にも及ぶ。現在でも手狭な敷地に果たして新文化施設は収まるのか?
 総括審査ではグーグルアースでの上空からの写真を配布し、敷地の狭さを尋ねた。知事はコンサルが大丈夫だと言うから大丈夫だと繰り返すが、そうであればある程度の青写真を示すべきではないかと述べる。当該地は千秋公園の一角であり、周囲の景観との調和や樹木、石垣などの保存は当然されるべきだと思う。

 もう一つは土地の用途である。当該地は都市計画区域であり建築基準法の用途地域が指定されているが、ここは実は第1種住居地域であり劇場などを建設することは出来ない。この点について建設部長に尋ねると、その通りだが公共の必要性が認められるものについては、建築審査会で承認されれば建設可能との答弁。建築審査会での承認を前提に事業を進める事が適切かは疑問の残る所ではある。また建ぺい率は70%、容積率は200%であり、道路斜線や北側斜線など建築基準法上の制限は住居地域のものが当然かかってくる。いずれにしても計画する建物に対して相当に狭い敷地であることは確かである。

 以上は私が建築士の立場で疑問に感じたことである。その他に県・市協働の公平性や今後の運営方法、出資割合などについても質問するが、知事は地方創生に絡んで来年の3月までが国への申請期限という事で、それに間に合わすことで頭が一杯のようだ。運営方法等については今後秋田市と協議し協定を交わすという。

 総括審査では建築的な観点から問題点を指摘し一定の成果を上げる事が出来たと思うが、全体的には他の質問者の質疑同様かみ合わないものが多かった。既に当事業はマスコミでも報道され既成事実化されているのが実情だ。本来であれば議会軽視だと騒がなければいけない所かもしれない。 
 
 知事は中心市街地に整備することで国の交付金が多くなり、また秋田市と協働で行うことでお互いに負担が軽くなると言う。それは確かであろう。中心市街地に適当な敷地の無い秋田市に置いて現県民会館所在地に建てるのも理解する。しかし、果たして計画にある程の大きな施設が秋田県に必要であろうか。3千人規模の大会や会議はどれ位あるのかを示す資料は県当局も持ち合わせていないようだ。
 また現在県民会館と秋田市文化会館は利用率が7〜8割もあり将来これが一つになった時、利用者の不便は相当なものになると私は推測するが杞憂だろうか。文化芸術団体が多様化し一方で高齢化、人口減少が進む状況を考えれば施設を集約して大規模化するより、分散したほうが利用者にとって使いやすいし、様々な対応が可能になるのではないか。
 
 整備方針は示されたが、多くの課題を抱える新文化施設。これほどの大型建築物は県内ではおそらく今後無いだろう。後世に残す文化施設として禍根を残すことのないよう県当局にはもう少し柔軟な対応が必要ではないだろうか。
author:北林丈正, category:議会, 12:36
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